

単衣の訪問着とは?袷との違いや特徴・季節に合わせた選び方や暑さ対策も!

単衣の訪問着とは?袷との違いや特徴・季節に合わせた選び方や暑さ対策も!
訪問着は季節や気温などによって、素材や仕立て、色柄などを調整することが大切です。
とくに、初夏や秋口に活躍するのが、「単衣(ひとえ)」です。
単衣は、季節を先取りした素敵な色柄が豊富で、秋冬シーズンでは味わえない魅力があります。
今回は、単衣とはどのような着物を指すのか、袷(あわせ)との違いや選び方、また着付けや所作についても解説します。
訪問着を正しく着用するために必要な知識を数多くご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
訪問着とは
今回のテーマである「単衣」は、とくに初夏や秋口に着用される訪問着の一種です。
単衣についての詳しい説明に入る前に、訪問着について解説しておきましょう。
訪問着のはじまり
訪問着は、その名の通り訪問時に着用する着物です。ずっと昔から日本女性に愛用されてきたイメージをお持ちかもしれませんが、その発祥は意外と新しく大正時代の初期になります。
それまでは、庶民の着物といえば、今でいうフォーマルの留袖などや日常に着用する小紋や紬くらいしかありませんでした。しかし時代が西洋化する中、洋服で外出する人たちが増えると、着物もフォーマルと普段使いの間のセミフォーマル的なお出かけ着への需要が高まりました。
そこで当時の三越呉服店(現在の三越伊勢丹)が、訪問着を売り出します。人前で着ても恥ずかしくない、オシャレ着としての訪問着は当時の女性たちの人気を博し、日本中に普及していきました。
訪問着の利用シーン
訪問着は、その華やかさと格式の高さから、以下のようなさまざまなフォーマルシーンで着用されます。
結婚式 | 新郎新婦の親族や友人など、招待客として出席する場合に着用します |
披露宴 | 結婚式と同様に、招待客として出席する場合に着用します |
入学式 | 子供の入学式に、母親が着用する場合があります |
卒業式 | 子供の卒業式に、母親が着用する場合があります |
七五三 | 子供の七五三のお祝いに、母親が着用する場合があります |
お茶会 | 茶道のお稽古や茶会などで着用します |
式典・セレモニー | 各種式典やパーティーなど、フォーマルな場での着用に適しています |
観劇 | 歌舞伎や能などの伝統芸能の観劇や格式の高いコンサートなどの鑑賞 |
訪問着の特徴
さて、ここで「訪問着の見分け方は?」「訪問着の特徴は?」と聞かれてはっきり答えられる方は、どれくらいおられるでしょう。もしかしたらかなり少ないかもしれませんね。
イメージだけでいうと、「明るくて華やかで上品なお着物」という感じかもしれません。その表現は決して誤りではありませんよ。
ただ正式には、訪問着は、「柄が絵羽(えば)として連続しており、大ぶりな柄や華やかな模様が一周にわたりつながって描かれている準礼装」という説明ができます。???という方も多いでしょう。
まず絵羽というのは、着物の袖、身頃(みごろ)、衽(おくみ)などの縫い合わせ部分(合口といいます)に柄の模様が連続するような染め方や、そのように染められた着物そのものを指します。
つまり訪問着を広げると、柄が一枚の絵のようにつながって描かれていると考えると分かりやすいでしょう。
また、着物は大きく分けて「第一礼装」と「準礼装」があります。
第一礼装はもっとも格式が高く、留袖や黒留袖、振袖などを指します。
その下が準礼装で、訪問着はこれに当たります。ただ紋が入らない訪問着は、略礼装と呼ばれます。
現在は、ごく一部の結婚式などでしか紋付は着用されないため、訪問着というと略礼装と理解しておいてよいでしょう。
また訪問着は、柄が全体にはっきりと描かれているので、季節感を演出するにもうってつけです。
以下の表のように、それぞれの季節をイメージしやすい花や自然の様子がモチーフになっているものがとても多いです。
春 | 桜、牡丹、バラ、藤、松竹梅など |
夏 | 朝顔、紫陽花、杜若(カキツバタ)、菖蒲、鉄線、海や波、川など |
秋 | 菊、紅葉、桔梗、ススキ、萩、女郎花、ざくろ、吹き寄せ、月など |
冬 | 椿、梅、南天、雪など |
「花が咲く」「実る」など、植物は縁起の良い象徴としての意味合いが強いので、どの季節でも意識して描かれています。夏は涼しさを演出するために海や波、川が、冬は雪がモチーフになっていることも多いですよ。
さらに、訪問着には、「八掛」という裏地が付いています。
袖口、前身頃、後ろ身頃、衽(おくみ)裏の全部で8か所に裏地を付けることから「八掛」と呼ばれています。
袖や裾を保護する役割があるのですが、着物の表面とは違う色を使うことが多く、腕を挙げたり、歩いたりしたときにチラリと見えるのがおしゃれのアクセントにもなります。
単衣の訪問着の特徴
ここからは、本題である「単衣」の解説に移りましょう。
単衣とは
単衣とは、とくに「6月」と「9月」頃に着用される着物のことで、訪問着にも多数見られます。「ひとえ」という名の通り、胴裏や八掛といった裏地がない着物になります。裏地がない分、軽いのはもちろん、素材の柔らかさにより締め付け感も少ないため、初夏や秋口にピッタリですよ。
帯は袋帯が基本です。袋帯とは、表と裏に別の生地を使い、袋状に縫い合わされている格式の高い帯のことで、表地に織り柄が入っており、裏が無地というのが一般的です。
透け感と光沢のある、櫛を使って波紋のようにみせる櫛織りや紗の帯などが、とても趣があっておすすめですよ。
また、6月後半や9月前半あたりと、かなり期間が限定されますが、とくにジメジメと蒸し暑かったり、残暑が厳しかったりする日なら絽や羅、麻などを使った夏帯もいいでしょう。
袷とは
単衣に対して、「袷(あわせ)」は、裏地のある着物を指し、主に秋から春にかけて着用されます。
薄物とは
単衣の中でも、さらに7〜8月のもっとも暑い時期に着用されるのが、「薄物(うすもの)」です。薄くて粗い織りの絽(ろ)や紗(しゃ)が使われます。
絽と紗の違い
隣同士の経糸(たていと)を絡ませる「からみ織り」で、奇数の緯糸(よこいと)ごとに経糸を「絽目」というすき間を作りながら織るため、縦縞が入るのが特徴です。訪問着以外に黒留袖でも使われます。
紗は、絽よりさらにざっくりと織られているため、透け感が強く、涼しいのが特徴です。こちらは絽のように格式の高いシーンでは着用しませんが、カジュアルなパーティーならOKですよ。
単衣の訪問着の選び方
続いて、単衣の訪問着の選び方について解説しましょう。
季節に合わせた単衣の選択
単衣が活躍するのは、6月と9月がメインです。季節が春から夏に、また夏から秋へと移り変わっていく時期になります。
これらの時期しか絶対に着用してはいけない、というわけではありませんが、少なくとも結婚式やお茶会、その他格式の高い式典などが6月や9月に開催される場合は、単衣が絶対と思っておいてください。
一方、そこまでフォーマルでない場合は、体感として「袷では暑いな」と思えば単衣を着用しても結構ですよ。
とくに最近は、4月〜5月でも30度前後まで気温が上昇することが珍しくなくなりました。地域によっては10月でも30度超を記録するケースもありますよね。
そのような場合は、カジュアルなシーンに限ってですが単衣コーデをチョイスしてもOKです。
逆に、真夏でもエアコンがしっかり効いた屋内で過ごす場合は、薄物だと寒すぎるため、袷や単衣にする方もいます。とくに最近の気候は不安定なため、その日の気温や訪問先の室温事情をよく考えて臨機応変に対応することも大事と考えてください。
さて、単衣の訪問着を着用する際は、季節感を重視することがとても大切です。しかも季節を少し先取りするくらいが良いとされていますよ。
日本は四季がはっきりしていますから、単衣の柄で季節の訪れを表現していると理解するとよいでしょう。
初夏に着用する場合は、紫陽花、鉄線、杜若、うり、柳、川や海などがいいでしょう。4月であれば、藤や牡丹あたりも素敵ですよ。
秋口に着用するなら、秋の七草の撫子や桔梗、萩、女郎花(おみなえし)、ススキ、また紅葉や吹き寄せ、菊、ざくろ、イチョウ月やうさぎなどがあります。ちなみに「吹き寄せ」とは、色んな種類の落ち葉や落花が1箇所に吹き集められた状態をデザイン化したものです。
色選びのポイント
単衣の色も、日差しが強く明るい初夏の場合は、オフホワイトや淡いブルー、パープル、クリーム、グリーンなど明るめのものがおすすめです。
▼▼▼初夏におすすめの単衣の訪問着▼▼▼
訪問着|夏用|単衣|6~9月|対応身長:153~162cm|サイズ:7~13号|#5L57
訪問着|夏用|単衣|6~9月|対応身長:153~162cm|サイズ:7~13号|#5L53
秋口なら、ホワイト系や淡いカラーは控えて、濃く、暗くなりすぎない黄色や朱色、グリーン、ブラウン系などがいいでしょう。
帯も濃いめのものより、白や淡い色をベースにしたものや、着物のカラーにトーンを合わせたものにするとよく映えますよ。
▼▼▼秋口におすすめの単衣の訪問着▼▼▼
訪問着|夏用|単衣|6~9月|対応身長:153~162cm|サイズ:7~13号|#5L54
訪問着|夏用|単衣|6~9月|対応身長:150~160cm|サイズ:7~13号|#5L59
単衣コーデは調和が大切
単衣コーデは、着物だけでなく、帯や帯締め、帯揚げ、さらに髪飾りや草履、バッグといったさまざまなアイテムの調和がとても大切です。
帯や帯締めを単衣と同系色にしたり、あえて対照的なカラーにしたり、帯を控えめにし、帯締めと帯揚げを濃い色にしてアクセントをつけるのもいいでしょう。
とくに格式が高いパーティーや式典、結婚式では、派手さが前面に出ると、場の空気を見出したり、場違い感が目立ったりしかねません。もちろんお茶会でも同じことがいえるでしょう。
せっかくのおしゃれが品位を欠いてしまい、ご自分が恥をかくだけでなく、訪問先の皆さんにも不快感をもたせる結果になると、とても残念ですよね。
そのようなことがないように、単衣コーデはトータルでシーンにふさわしいかどうかを見極める目をもつことも忘れないでください。
体型に合わせた選び方
ふっくら体型の方は、縦ラインが入ったデザインのものがスリムに見えるのでおすすめです。
小柄な方は、花や吹き寄せなどの柄が小さなものや、斜め方向に柄があしらわれたものが似合いますよ。また、訪問着は裾を長めに着付けるのが一般的ですが、それに加えて草履を高いタイプにすると、脚長効果がより強く発揮されます。できれば5〜6cm以上のものを意識して選ぶようにしましょう。
訪問着の暑さ対策
単衣や薄物など、着用する着物の種類を変えるだけで暑さを乗り切るのは難しいです。とくに近年の暑さは、あきらかにかつてと比べて厳しくなっていますからね。
そこで訪問着を着用する際にできる暑さ対策について解説しましょう。
普段の洋服に比べて訪問着は着付けに時間がかかります。夏はそれだけで汗が吹き出してきますから、必ずエアコンのよく効いた部屋で着付けをしましょう。
また、着付けの前にベビーパウダーを塗っておくと、肌が汗ばむのをある程度防げますよ。
着付けの際には、通気性の良い夏素材の長襦袢と、その下には同じく夏用の肌襦袢を用意します。エアリズムや和装ブラでもいいですよ。下半身はステテコをはくと、太ももの汗があまり気にならなくなるのでおすすめです。
ウエスト周りは、補正や帯でどうしても汗がかきやすかったり、痒みの原因になったりします。そのため、補正にはタオルより通気性に優れた大判のガーゼがよいでしょう。
帯板や帯枕、伊達締めをメッシュ素材にすると通気性がよくなります。
体温は、手のひらを冷やすと下がるので、保冷剤をハンカチやタオルで包んで持ち歩くのも有効ですよ。あとは、扇子や携帯扇風機、日傘で少しでも涼をとることや、脱水対策のために水分補給も忘れないように心がけましょう。
肌襦袢と半衿の洗濯
夏はとくに汗をよくかくので、肌襦袢は毎回洗濯するようにします。汗がついたまま放置するとシミや黄ばみの原因になります。長襦袢は毎回洗う必要はありませんが、半衿は黄ばんだり黒ずんだりするため、とくに夏は毎回洗う方がよいでしょう。長襦袢も含めてポリエステルなら洗濯機でよいですが、正絹の場合は、手洗いするかクリーニングに出すようにします。
梅雨対策も要注意!
梅雨対策も忘れてはなりません。雨に濡れると着物が汚れやすいため、雨コートや道行(みちゆき)といった和装コートで対応しましょう。
また、訪問先によってもアクセス方法を事前によく考えておく必要があります。
駅から長距離歩くとなると、せっかく着付けたものが着崩れしたり、汗で湿気を帯びてしまったりする恐れがあるでしょう。
その場合は、タクシーや自家用車を利用するのがおすすめです。
ただし、着物での運転は危険ですから、運転手が他にいる場合以外は控えてくださいね(地域によっては条例違反になるケースもあるので要注意!)。
電車で移動する際も、駅のベンチなどは汚れている可能性があるので、車内の座席も含めてよく確かめてから座るようにしましょう。ハンカチなどを敷いて腰掛けると安心ですよ。
単衣の訪問着の着付けは自分でできるの?
「単衣の訪問着は自分で着付けることができます!」
さすがに初めて着物を着るという方が、着物モデルさんのようにどこから見ても完璧な着こなしをするのは、難しいかもしれません。
でも正しい手順を学んで何度か練習すれば、必ず自分で着られるようになりますよ。
大切なのは「難しそう」「私には無理!」という思い込みをなくすこと。そもそも昔の女性は毎日着物を着用していました。とくに訪問着の中でも単衣は軽くて生地も薄いですから袷に比べると楽です。「私にもできる!」と思って、そのゴールに強い意志で向かっていく気持ちがあれば、思ったより簡単に到達できますよ。
ぜひご自分で着付けができるところまで行ってくださいね!
単衣の訪問着を自分で着付けるメリットとデメリット
さて、ここで単衣をはじめとする訪問着を自分で着付けるメリットとデメリットについて解説しておきましょう。
メリット
- 自分の好きなタイミングで着付けができる
- いつでも単衣コーデが楽しめる(単衣以外の訪問着へのハードルも下がる)
- 着付け師に依頼する手間とコストが不要
- 家族や知人の着付けをサポートできる
- 良い姿勢や所作が自然と身につく
自分で単衣の着付けができるようになると、コーデの選択肢が広がります。
いつもはワンピースやドレス、スーツでも、ここ一番という日に着物を着ていくと周囲の目を引きますし、気持ちがウキウキしたり、気が引き締まったりする効果もあります。
しかも着物の場合は、髪飾りやバッグ、草履などの小物も日頃のコーデとはまったく違うため、着付けとトータルで楽しめる良さもあるでしょう。着物が上手く体にフィットするように、鏡を前にして自然と姿勢が良くなったり、着崩れないための美しい所作が身についたりするのも、着付けを人任せにしない利点ですよ。
単衣の訪問着の着付け方をマスターできれば、きっと日本人でよかったと改めて強く思えるでしょう。動画を使えば、自宅にいながらでもコストをかけずに学べるので、気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。
デメリット
単衣の訪問着の着付けを自分でする際にデメリットらしいデメリットなどほぼありません。あえていうなら以下の3点くらいでしょう。
- 着付けがマスターできるまで時間と根気が必要
- 慣れないうちは一回の着付けに時間がかかり、着崩れする可能性が高い
- 袷に比べると、生地が薄くてシワが寄りやすいため、その処理が少し大変
最初から着付けができる人など存在しません。着付け師に習うか、動画を観ながら慣れるしかないでしょう。そして、最初から完璧を目指さずに「衿と帯と裾が綺麗に決まれば合格!」くらいの軽い気持ちで楽しみながら学ぶことをおすすめします。
着付けは、数をこなした人が勝ちです!繰り返すうちに、どんどん上達するので心配はいりませんよ。
訪問着を着付ける際の準備
それでは続いては、単衣を含む訪問着を着付けるにあたって必要なアイテムや段取りを解説しましょう。
時間と心に余裕をもつ
訪問着は、普段のようにその日の朝に目の前のものをパパッと着て出かける、というわけにはいきません。
訪問着は、準礼装や略礼装という格付けですから、結婚式や入学式、式典など多くの場合は数ヶ月前とか数週間前にはスケジュールが決まっているはずです。
直前になって「アレがない、コレがない」「こんなところにシミが・・・」といったことがないように、時間にも心にも余裕をもっておきましょう。
後述するように訪問着には、着物レンタルの使用もおすすめですが、時期によっては品薄になります。とくに入学式や七五三など日程が集中する時期は、人気のデザインから押さえられてしまうので、早めの予約が大切ですよ。
ヘアメイクも美容院にお願いする場合は、その予約も忘れないようにしましょうね。
必要なアイテムを揃えよう
着付けには、訪問着以外にもさまざまなアイテムが必要になります。それらをきちんと揃えておきましょう。
【訪問着以外に必要なアイテム】
- 長襦袢・・・とくに屋外だと透けて見えることがあるので、上下分かれた二部式でなく、一部式の長襦袢を着るようにしましょう。
- 伊達締め
- 腰紐
- 髪飾り・・・訪問着では派手になりすぎないように、つまみ細工やかんざし、パール系アクセサリーがおすすめ。
- 帯
- 帯板
- 帯枕
- 帯締め
- 帯揚げ・・・単衣には、白や淡い色目のものがおすすめ。
- 重ね衿(なくてもOKですが、ある方がコーデがより美しくなります)
- 半衿・・・訪問着の場合は、単衣でも合わせでも白の半襟が一般的。カジュアルシーンなら淡い色付きも可。
- 衿芯
- 和装ベルト
- 足袋
- 草履
- バッグ・・・結婚式など格式が高いシーンでは、ゴールド・シルバー系が基本。カジュアルシーンなら、レースや絽、紗などの素材を使ったものもOK。
- 着物クリップ
- ゴム(帯結び用)
手を洗おう
着付けを行う前に必ず手をキレイに洗いましょう。手が汚れていると、せっかくの美しい訪問着にシミなどがつく可能性があります。
着物レンタルの場合、通常は返却時のクリーニングは不要ですが、汚れがひどかったり、傷めてしまったりした場合は、追加料金が請求されることがあります。
自前の訪問着でも、汚れるとクリーニング代が余分に必要になったり、洗っても取れなくなったりする恐れもあるので気をつけましょう。
事前に陰干しを
訪問着は着る前に必ず陰干しをしておきましょう。湿気を取り除くのと、防虫剤の臭い除去、畳ジワ伸ばしが目的です。
着物ハンガーに掛け、直射日光や蛍光灯の光を避けて、風通しの良いスペースで行います。エアコンの風は当てず、カーテンも閉めてくださいね。落ちた時の汚れ防止のために敷紙を敷いておくと安心です。
良く晴れた日なら半日で十分でしょう。そうでない日は1〜2日を目処にしてください。
姿見の前で着付けよう
着付けは姿見の前で行うのが基本です。訪問着に限らず着付けは全身に気を配る必要があります。無理に用意する必要はありませんが、2個あれば後ろが確認しやすくなるのでベターかもしれませんよ。
ヘアセットとメイクは着付けの前に
着付けをした後にヘアセットとメイクをするのは大変です。着付け前に済ませておくと、メイクで訪問着が汚れたり、髪の毛がついたりするのを防げますよ。
また、着付けの際は、前開きの服を着ておくのもおすすめ。途中で首から脱ぐとせっかくのヘアスタイルが崩れかねませんからね。
歩き方も上品に
着付けがうまく仕上がっても、所作がぎこちなくては、せっかくの訪問着コーデも台無しです。そこで、訪問着での美しく上品な歩き方について解説しましょう。
ポイントは3つあります。
まず一つ目は、「膝をくっつけるような気持ちで、やや内股で歩く」です。
足が開いたり、外股だったりすると着崩れの原因になりますし、ガサツで下品に映るので注意しましょう。
二つ目は、「胸を張りすぎず、頭頂部から糸で真上に引っ張られているイメージで、真っ直ぐな線の上を歩くつもりで歩く」です。
猫背で顎を前に出してはいけませんが、胸を張って偉そうに見えるのもよくありません。「楚々として上品に」を意識しましょう。一本の線上を歩く気持ちでいると、自然とやや内股になるのでスタイルも整いますよ。
最後は、「足首から後ろが裾から見えない程度の歩幅で、足裏を天(草履の上面)に付けたまま歩く」です。
訪問着の中だけで歩くイメージをもってください。実際に歩く際は、足が裾の前から顔を出します。でもその範囲は、足首より前までと考えてくださいね。
それ以上出すと大股になりますし、長襦袢が見えたり、袷の場合は八掛が擦れて傷んだりするため、気をつけましょう。
また、足裏を天に付けたまま歩こうと思うと、かかとではなく、つま先から地面に着地しなければなりません。こうすると歩幅が自然と小さくなりますし、パタパタと音がしないので、より上品に見えますよ。
鼻緒を親指と人差し指でしっかり挟むように意識するのもよいでしょう。
単衣の訪問着は購入?それともレンタル?
訪問着は、購入しても良いですし、レンタルも可能です。
それぞれにメリットとデメリットがあるのでご紹介しましょう。
購入のメリットとデメリット
まず購入は、ご自分の体型や好みに合った色柄を選べるという点が大きな魅力です。借りたものは、汚したり傷つけたりしないか気を使いますが、購入の場合はそのような心配もいりません。
また、ご自分が着なくなっても、お嬢様やお孫様に譲ることができる点もメリットでしょう。
ただし、TPOや季節によって使い分けるには、その都度購入しなければならないので経済的な負担が大きくなります。
仕立て上がりなら10万円前後でも買えますが、有名デザイナーの作品や仕立てになると数十万円以上するケースもあります。
訪問着を着付けるには、長襦袢や腰紐、伊達締め、バッグ、草履といった小物が必要ですが、これらもセットで買うことになるため、さらにコストがかかるでしょう。
訪問着は定期的に虫干ししたり、収納スペースを作ってきちんと保管したりしなければならないので、慣れていないと面倒に感じるかもしれません。
使うたびにクリーニングのコストもかかります。また急なお呼ばれには対応できないこともあるでしょう。
レンタルのメリットとデメリット
レンタルのメリットは、何といってもコストが安く済む点です。
単衣などの訪問着なら安価なもので1〜数万円からレンタルできるうえ、帯や小物もセットで貸してもらえるため、ご自分で用意するものはほとんどありません。
しかも割引キャンペーンが頻繁に催されることが多いので、時期によっては小物も含めて1万円前後でレンタルできるケースも珍しくありませんよ。
有名店や老舗点であれば、訪問着だけでも数百点以上のラインナップがあるため、TPOや季節に応じたチョイスが可能です。
着物レンタルはネットショップが品揃えが豊富で、予約もしやすいので大変便利です。試着ができないとか、サイズが合うか心配という方もおられるかもしれません。でも、サイト内でサイズについては細かく説明されてますし、画像もかなり綺麗なため、届いてから期待はずれということはほぼないとお考えください。
またレンタルは、購入のようにメンテナンスも収納する手間も一切不要です。
お店にもよりますが、早いところなら当日や翌日にはレンタルできるので、急なお呼ばれにも対応しやすいでしょう。お店に取りに行かなくても、ネットレンタルなら借りる時も返却時もすべて郵送で済みます。しかもクリーニングも不要です。
手続きもスマホ一つで完結するため、購入に比べるとかなり利便性が高いでしょう。
ただレンタルの場合は、期間が限定されており、返却が遅れると延滞料金がかかります。キャンセル料金も考慮しておく必要があります。
また、入学式や卒業式シーズン、結婚式が多い春や6月、秋などは品薄になることがあるので、早めの予約が必要でしょう。
まとめ
訪問着の中で、とくに初夏と秋口に活躍する単衣について解説しました。
結婚式やお茶会、格式の高いパーティーなどの場合は、6月と9月に着用するのが正式なマナーです。ただ、カジュアルシーンでは、必ずしも6月や9月である必要はありません。4月や10月でも暑ければ臨機応変に着用して構いませんよ。
また、真夏でもエアコンが強く効いている環境なら薄物よりも単衣が役立つこともあります。
単衣は、夏を意識した、あるいはこれから深まる秋を先取りしたような素敵なデザインが数多く揃っているので、シーンのテーマや訪問先でお会いする方、またお好みに合わせてチョイスしてみてはいかがでしょうか。
e-きものレンタルでは、単衣や薄物をはじめとする各種訪問着をご入用の皆様を経験豊富なスタッフが全面的にサポートいたします。
愛知で創業50年以上の歴史を持ち、トレンドから根強い人気の定番まで幅広いラインナップを数多くご用意しております。小物もスタッフが無料でコーディネートしてお送りしますので、お着物初心者の方もご安心ください。