なぜ卒業式に袴を着るの?理由や袴の歴史・今の流行りをわかりやすく解説!
なぜ卒業式に袴を着るの?理由や袴の歴史・今の流行りをわかりやすく解説!
最近では、卒業式の衣装として当たり前のように袴が着用されていますよね。
でも昔からそうだったわけではないのをご存じでしたか?
かなり長い間、卒業式に袴を着る習慣はなかったのが、明らかにある時期以降に増え始めました。そのきっかけは何だったのでしょうか?
今回は、なぜ卒業式に袴を着るようになったのか、その理由や女子袴が誕生した背景、袴の歴史について解説します。
卒業式で袴を着用する予定のある方は予備知識として知っておくと、日本女性として袴を着られることに感謝できるかもしれませんよ。ぜひ最後までお読みください。
なぜ卒業式に袴を着るの?
まず、卒業式で袴を着用するきっかけとなった出来事から解説しましょう。
火付け役は80年代の映画『はいからさんが通る』だった!
袴が女学生に広まったのは、明治から大正にかけてでした。
ただその後ファッションの流行はどんどん西洋化したため、袴を着る習慣は自然消滅。そして皆さんが生まれるより以前の1980年代まで卒業式に袴を着る人はほぼ皆無だったのです。
ところが1987年、当時のトップアイドル南野陽子さんが主演の映画『はいからさんが通る』が大ヒットすると、主人公の「袴にブーツ」というスタイルが若い女性の間で大ウケします。一種の社会現象となり、90年代の前半にかけて卒業式で袴を着る女子大生が増え、やがて全国的に定着していきました。
そのブームは平成になっても収まらず、袴で式に参列する先生まで登場。令和になった今では一部の高校生や小学生の中にも袴姿がみられるようになりました。
きっかけは結構意外でした。袴というと日本の伝統である着物の一種ですし、それなりに深い意味があるのではと思っていた方も多いのではないでしょうか?
でもきっかけは映画だったため、今でも袴の歴史をよく理解した上で着用している人は少ないかもしれませんね。
女子袴が誕生した背景は?
では現在卒業式で女性が着用している袴コーデはどのように誕生したのか、さらに掘り下げていきますね。
先ほども触れたように女子袴の誕生は明治時代です。もともと袴は男性用の衣装で、後で説明するようにその様式は「馬乗袴(うまのりはかま)」というズボン式のスタイルでした。
これが動きやすくて重宝されていたのですが、当時の世論として「女性らしくない」「はしたない」といった辛口批判が続出。
そこで宮中での勤務経験があった下田歌子氏という人物が、宮中の衣装を参考に機能性と女性らしさを備えた「行燈袴(あんどんはかま)」を発案。宮内庁所管の華族女学校で採用されるようになりました。
これと前後して、上流階級の娘さんたちが多く通っていた跡見女学校でも「お塾袴」という女子袴が着用されるようになり、そこから徐々に袴コーデが広がっていったのです。
「馬乗袴」と「行燈袴」の違い
袴には「行燈袴」と「馬乗袴」の2種類があります。それぞれについて詳しく解説しましょう。
「馬乗袴」とは
馬乗袴は男性用で、もともとはこの一種類でした。文字通り、武士が馬に乗りやすいように作られているのが特徴。中仕切りといって股の部分が2つにわかれ、そこに「襠(まち)」という余裕をもうけ、ズボンのように履くことができます。これで自由に脚を開いたり、走りやすくなったりするのです。
ただ実際には、合気道や剣道、神社の巫女さんなど女性が着用する例もありますよ。卒業式用の袴でも、主流ではありませんがこのタイプは存在します。
卒業式の日は、式場までの道中や、卒業証書の授与式、教授やいろんなお友達への挨拶などであちこち歩き回らなければなりません。階段もあるでしょう。その意味では、馬乗袴の方が実用的かもしれませんね。
「行燈袴」とは
先ほどもいったように、行燈袴は明治時代に女子学生のために開発された袴スタイルです。
中仕切りも襠(まち)もないスカートスタイルのため動きやすいですが、あまり激しく跳んだり、脚を開いたりすると中が見えてしまうため、その点は女性らしい所作が求められる衣装といえるでしょう。
袴の歴史をたどってみよう!
ここからは、さらに袴の歴史をさかのぼってみましょう。
実は袴の起源は、今から約1,700年前の古墳時代の遺跡として発掘された埴輪(はにわ)にみられます。かといってこの時代の人たちが袴を履いていたかどうかは、あまりに古すぎてよくわかりません。
それより私たちに馴染みのある奈良・平安時代に袴が本格的に多用され始めたことがわかっています。
袴は高貴な人たちの特別な衣装だった
奈良・平安時代、袴はとても珍しく、宮中で生活する上流階級しか着用できませんでした。庶民には見ることも手にすることもほぼ不可能な高級品だったのです。
具体的には、十二単(じゅうにひとえ)の一部に「長袴(ながばかま)」という袴を着用していました。ただその上に何枚も衣を羽織っていたので、私たちが馴染みのある袴の形はほとんど見えません。
これが江戸時代になると、身分によって着用できる服がさらに厳しく規制されます。
男性用は武士社会のため袴姿が残りましたが、例えば大奥の身分が高い女性であっても腰巻や打掛を上に羽織るスタイルとなり、袴はほとんど見られなくなりました。
袴と学問の関わり
江戸時代が終わり、明治になると女性にも学びの場が広がっていきます。着物ではどうしても動きにくく、イスに座って勉強するにしても着崩れしやすいということで、男性にならって馬乗袴が制服の役割を果たすようになります。
その後、女性らしさに欠けるという理由で一旦政府によって女子袴は禁止され、時代の流れで教師にも学生の中にも洋服を着る人たちが現れました。ただ洋服は贅沢品であるということ、また西洋化に反対する国粋主義への回帰運動によって、女学生の袴スタイルが復活。
このタイミングで先ほど説明した下田歌子氏によって行燈袴が女性用に作られます。とくに明治30年代になると、庇髪(ひさしがみ)という前髪を庇のようにこんもりと張って大きなリボンで飾り、海老茶色(紫がかった茶色)の袴で革靴を履くというスタイルが大流行しました。
この袴コーデで自転車に乗り、学校に通ったりスポーツを楽しんだりするのが、「イケてる女学生」だったのです。
現代の卒業式用袴とトレンド
海老茶色の袴コーデが女学生のトレンドだったのが、今から約130年前のこと。
それから大正、昭和、平成を経て令和となり、卒業式用に着用される袴のスタイルはずい分と変化しました。
現代の袴トレンドは、上半身の「二尺袖(または振袖)」、胸から下の「袴」、そしてヘアメイクと足元という4つのパーツに分けて説明できます。
袴コーデは、大きく「古典柄」と「モダン柄」に分けられ、その間のレトロモダン柄も人気です。
古典柄は日本ならではの桜や梅、菊、牡丹、蝶、矢絣など、昔ながらの柄がベースとなっていますが、色の組み合わせやデザインは昔のものとは比べ物にならないほど華やかだったり、フェミニンだったり、ゴージャスだったりしますよ。
卒業袴|白系|R1424B|対応身長:153-158cm|サイズ:7-13号
卒業袴|紫系|R0147A|対応身長:158-163cm|サイズ:7-13号|九重
モダン柄は、薔薇や椿、幾何学模様、レースなどがくすみカラーやパステル、蛍光色などをベースにあしらわれており、どこかドレスをイメージさせるような西洋的要素が含まれています。
卒業袴|グレー系|R036A|対応身長:153-158cm|サイズ:7-13号
卒業袴|グレー系|HELD13A|対応身長:153-157cm|サイズ:7-13号|Modern A
袴も一色ではなく、上からしたに向けてグラデーションになっていたり、縦に向かってモノトーンになっていたり、二尺袖と同じ花や蝶などの柄が刺繍されていたり。昔とは違ったオシャレなものがたくさん登場しています。
袴(単品)|#E-H70-260|対応身長:163~168cm|サイズ:7~13号|普通体型
袴(単品)|#H75-25-1|対応身長:158~163cm|サイズ:7~13号|普通体型
袴コーデをさらに魅力的にするのがヘアメイクや髪飾りです。カラーリングやパーマは明治や大正では考えられなかった技術ですよね。そこに造花やドライフラワー、リボンや金箔、ラメなどを使ってさらに可愛く、デコラティブに演出できるのも現代ならでは。
他にもたくさんのカラー、デザインの髪飾りをご用意しておりますのでご覧ください。
そして足元は、草履ではなくブーツが人気です。アクティブに動けますし、黒だけでなく、ブラウンや白、ベージュ、ピンクなど大人コーデにもガーリーでポップなイメージにもマッチするので、オシャレ度がグンとアップします。
袴コーデをここまで楽しめるのも、長い歴史があってこそ。今の時代に生まれて本当によかったと、改めて感謝できますよね!
まとめ
なぜ卒業式に袴を履くようになったか理解できましたか?
もし『はいからさんが通る』が上映されていなかったら、今頃、卒業式のファッションはどうなっていたのでしょうね。
でもきっかけはどうあれ、ここまで袴コーデが人気なのは、日本人としてDNAの中に和装の魅力を感覚的にキャッチして離さない「何か」があるのかもしれません。
訪日外国人の中には、着物をお土産にしたり、レンタルして町を歩いたり、記念撮影して喜んで帰る人たちが数多く存在します。そんな様子を大和撫子としてちょっぴり誇りに感じながら、卒業式用に素敵な袴選びができるといいですよね!
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