そもそも成人式に振袖を着る意味って?
日本では古来より、成人を祝う儀礼は数々あります。
男子には元服(げんぷく)・褌祝(ふんどしいわい)
・元服(げんぷく):元は頭を指し、服は着用を表します。子供から大人の服へと改め、頭に冠を付ける通過儀礼です。
・褌祝(ふんどしいわい):男児が生まれて初めて褌を締めることで、成人になったと周りから見なされる通過儀礼です。
女子には裳着(もぎ)・結髪(けっぱつ)などがありました。
・裳着(もぎ):成人した女子に初めて裳(十二単を構成する着物)を着せる通過儀礼です。
・結髪(けっぱつ):女児の髪を結い上げる事で、子供から大人になる通過儀礼です。
世界を見ても成人のお祝いをする国は多くなく、島国日本の独自の文化とも言えるでしょう。
日本で現在のような形式の成人式が執り行われたのは1946年(昭和21年)11月22日の事です。
埼玉県北足立郡蕨町(現在の蕨市)において実施されました。当時は敗戦直後ということもあり、次世代を担う青年達に希望を持って貰いたいという趣旨のもとに執り行われました。
ちなみに、蕨市では現在も成人式ではなく「成年式」と呼ばれています。そして、この青年祭は全国へと広まり、やがて現在の成人式が確立していったのです。
日本政府は青年祭の国民への大きな影響を認め、1949年(昭和24年)から、1月15日を成人の日として制定する事になりました。現在ではハッピーマンデーの制定により1月の第二月曜日が成人式へと変化しました。
ちなみに来年の新成人、2018年の成人式への参加対象となる人は、1997年(平成9年)4月2日生まれ~1998年(平成10年)4月1日生まれの方が該当します。
<振袖の起源>
現在、振袖といわれている着物が誕生したのは、江戸時代まで遡ります。江戸時代前期に若い女性が着る正装の和服の袖丈が次第に長くなりました。なぜ長くなったのかということについては様々な説があります。その理由は主に2つの説があります。
1)長い大きな振りは、身振りを美しく見せるという事で、徐々にお洒落を競ううちにどんどん長くなっていったという説。
2)長い袖で、男性への好き・嫌いを表現したという説です。男性に告白されたり、求婚された時に好き嫌いを言葉で伝える事がはしたないとされていた為に、袖の振り方で好き・嫌いを伝えたという説。「振られた」という表現はこの振袖の意思表示が由来となっているといわれています。
そんな昔から続いている表現だなんて何だか面白いですね。
そして、
『振袖が未婚女性の第一礼装になった理由』
古来より「振る」という行為には呪術的な意味合いがあったとされています。神のご加護を祈り、厄を払うなど信じられていました。今でも神事などで「振る」行為を見かけますね。そして「袖を振る」行為は、意中の人を振り向かせたいと未婚女性が祈っていたといわれています。そのような歴史的な背景もあり、明治時代以降に振袖は未婚女性の第一礼装に定着していきました。
成人式には女性が振袖を着る行為は人生の門出を祝い、より良縁を求める意味が強くなっているのです。20歳の門出を祝う日、成人式。様々な呼び方もありますが、何は兎も角、おめでたい日。少しだけ、日本の歴史と文化を噛み締めながら、素敵な成人式をお過ごしください。
e-きものレンタル 編集部