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行事・祭事のコト振袖

2022.02.212024.06.27

振袖だけで卒業式に出てもいい?袴は必要?

振袖だけで卒業式に出てもいい?袴は必要?
e-きものレンタル 編集部
目次

    卒業式で和装を選ぶ場合、袴を着用する女性が多いものです。
    同じ正装には振袖もありますが、振袖のみを着て卒業式に出席できるのかどうか、気になる方もいるのではないでしょうか。
    そこで今回は、卒業式で袴を履く理由をはじめ、卒業式での振袖着用の可否、卒業式の和装に合わせる履物や振袖をきれいに着るコツなどをご紹介します。

     

    なぜ卒業式に袴を履くの?

    短大や大学、専門学校の卒業式では、卒業生はもちろん、教職員でも袴を履く女性が多いものです。
    しかし、逆に言うと卒業式以外で袴を着用した女性を見る機会はほとんどありません。
    なぜ、卒業式で女性は袴を履くようになったのでしょうか。
    その理由は、女学生が履く袴の歴史にあります。

    袴の歴史は長く、古墳時代にはすでに存在していたことがわかっています。
    古墳時代は男性の衣類だった袴は、平安時代になると貴族が礼装として着用するようになり、宮廷に仕える身分の高い女性が十二単の一部としていました。
    それから長い時を経て、江戸時代には宮廷の女官以外の女性が袴を身につけることが一旦は禁止されたものの、明治時代に西洋文化とともに女性教育が広まり女性が学校へ通うことが増えると、女学生は着物より動きやすい袴を着用するようになったのです。
    また、畳ではなく椅子に座る機会が増えたことで、当時の文部省が裾の乱れが気になりにくい袴を女学生と女性教職員の袴着用を認めたといわれます。

     

    明治時代はすべての女性が学校へ通えるわけではなく、ごく限られた立場の女性のみが学校で学んでいました。
    つまり、袴は女性が学校で学べることの象徴といえます。
    和装に袴でさっそうと自転車に乗りテニスを楽しむなど、女学生は注目を集める憧れの存在となりました。
    そのような歴史から、学問の場での礼装として袴が定着したと考えられます。

     

    洋装が一般化した現在、袴を履く学生はいなくなってしまいましたが、袴は機能性とデザイン性を兼ね備えた礼装として人気が高いことから、現在は卒業式で履く女性が多いといえます。
    また、袴は卒業式くらいしか着る機会がないことも、袴が人気を集める理由といえます。

     

    卒業式は振袖だけでもOK

    女性が卒業式で着る和装といえば、袴という印象が強いものです。
    振袖は成人式の印象が強いこともあり、卒業式で着ていいものなのかと思われがちです。
    しかし実際は、卒業式で着用する服はフォーマルであればいいので、未婚女性の礼装である振袖を卒業式で着ることはマナー的には問題ありません。
    振袖には袴も合わせられますが、振袖のみでももちろん着用できます。

     

    振袖に袴を合わせると柄が袴で隠れてしまいますが、振袖のみなら柄が隠れることなく、華やかなデザインを活かせるのがメリットです。
    レンタルの場合は振袖の方が袴よりも費用が高くなるデメリットはありますが、すでに振袖があればレンタルする必要もなく、帯と合わせて卒業式向けのコーディネートも楽しめます。

     

    足元は草履とブーツどっちを選ぶ?

    卒業式に着る着物に合わせる履物には草履またはブーツの2種類があるので、履物選びで悩んでしまう方が多いのではないでしょうか。
    ブーツは袴だけに限らず、振袖にも合わせられます。
    どちらの和装でも草履とブーツどちらを履いても問題ありませんが、草履とブーツにはそれぞれ異なる特徴やメリットとデメリットがあります。

    草履は比較的どのようなデザインの着物や袴にも合わせやすく、和装の雰囲気を引き立てて上品で古風な印象にまとめられます。
    足元をスッキリと見せて着物と鼻緒のコーディネートも楽しめる点、脱ぎ履きがしやすい点もメリットです。
    デメリットは、履き慣れていないと歩きづらく、足が痛くなることがある点です。悪天候の場合は歩きにくさが増し、雨や雪の日は足元が冷えやすくなってしまう点も考慮して選ぶべきでしょう。

     

    ブーツは草履よりもヒールが高いタイプが多いので脚長効果が期待でき、スラリとした印象に見せられます。
    袴の場合、大正時代の女学生のような袴とブーツの組み合わせはハイカラさんのような可愛いレトロなコーディネートができるのも魅力です。
    また、ブーツは足袋を履く必要がありません。
    普段着でも履く方が多いので草履よりも歩きやすく、悪天候でも足元をカバーできるため防寒対策にもなります。
    しかし、ブーツは紐を結ぶ必要があるため脱ぎ履きに時間がかかる点がデメリットです。
    デザインによっては着物や袴と合わせにくいこともあるので、ブーツを履く際はデザインもよく選ぶ必要があります。

    このように、草履とブーツには異なるメリットとデメリットがあります。
    着用する振袖や袴とのコーディネートも考えて、卒業式の場にふさわしい履物を選びましょう。

     

    振袖で卒業式に出るメリット

    袴ではなく、あえて振袖を卒業式に選ぶことには、いくつかのメリットがあります。
    成人式でよく着用される振袖「中振袖」は卒業式でも着られるタイプなので、もし成人式で着た振袖を持っている方であれば、同じ振袖を卒業式でも着用可能です。袴は購入する人が少ないため、卒業式で袴を履きたい場合はレンタルが必要となります。
    これに対し、成人式で振袖を購入した方、家族から借りたり譲り受けたりした振袖がある方なら、レンタルする必要がないので費用を抑えられます。未婚女性の正装の振袖は、卒業式が終わってからも結婚式などで再度着用できる点もメリットです。

     

    成人式の袴に合わせる振袖は「小振袖」と呼ばれるタイプですが、小振袖より成人式で着用する中振袖の方が華やかなデザインが多く、卒業式用のレンタル品よりも好みのデザインを見つけやすいという点も振袖のメリットです。
    振袖の華やかな柄が袴で隠れることもなく、袴を履く人が多い中で存在感もアップするので、学生生活の最後を華やかにしたい方にとっては振袖を選ぶのがおすすめです。

    振袖を美しく着こなすコツ

    振袖を着るには振袖以外にもさまざまな下着や小物が必要なので、着付けを行うべき準備があります。
    帯はもちろん、帯締めや足袋、着付けに必要なコーリンベルトなどの小物も、あらかじめ準備が必要です。

     

    着付けの前には着物を最適な状態にしておく必要もあるため、長期間しまっていた着物は特に、着る前日までに出して着物ハンガーに掛けた状態で風通しを行っておきましょう。
    風通しを行うことで、防虫剤の臭いを飛ばしながらたたみジワを伸ばせるので、美しい状態の着物を着られます。風通しをしてもシワが残っている場合は、あて布をしながら低温でアイロンをかけてシワを伸ばしましょう。

     

    さらに、長襦袢の衿の部分に付ける「半衿」は縫い付けなければなりません。
    着付けに慣れている方なら着付け当日に半衿を付けるのは問題ないかもしれませんが、念のため着付けの前日までに付けておけば、着付け当日の作業がスムーズです。
    半衿を縫い付けるのが面倒な場合は、両面テープで貼り付ける、またはファスナーで取り付け可能な半衿を選択しましょう。

     

    振袖を着る前にこれらの準備を行ってから、着付けに取り掛かりましょう。

    着付け方法

    振袖を美しく着こなすには、正しい着付け方法が求められます。
    まず、下着と肌着を着用します。振袖のような和装には、洋装向けの立体的な胸に補正するブラジャーではなく、できるだけ凹凸を抑える和装ブラジャーが最適です。
    さらに、肌襦袢と足袋を身に着けます。和装ブラジャーがない場合はワイヤレスブラ、肌襦袢がない場合はキャミソールなどの市販品でも代用可能です。

     

    和装は、凹凸をなくして筒のようなシルエットに仕上げるのが望ましいといわれます。
    そのため、肌着を身につけた後はお腹周りやお尻、胸などの凹凸を埋めるためにパッドやタオルなどを使用して補正を行います。

     

    補正し終わったら、長襦袢を着用します。
    長襦袢は、着付け後に直してしまうと着崩れの原因になるため、長襦袢をしっかりと整えておくことが振袖の着姿を左右する重要なポイントです。
    肌着の上から長襦袢を羽織り、衿先を持って背中の中心と着物の中心を合わせておきます。
    衿元を片手で持ち、もう片方の手で後ろ衿を握りこぶし1つ分ほど引っ張ってずらす「衣紋を抜く」作業を行ってから、コーリンベルトで長襦袢を固定しましょう。

     

    長襦袢を着終わったら、いよいよ振袖を着ていきます。
    振袖を後ろに回して左右で同じ位置の衿を持ち、肩に羽織ってから片方ずつ袖を通しましょう。
    続いて左右の共衿を合わせて背中心を決めた後、背中の縫い目「背縫い」と衿先を持って裾を水平に持ち上げます。
    裾は床よりわずかに高いギリギリ付く程度に下ろすのがベストです。
    振袖の上前になる衿先を腰骨ほどの高さに合わせて前幅を決めたら、その状態で下前を巻き、7~8cmほど褄先を持ち上げます。

     

    上前を合わせて褄先を4cmほど、くるぶしが隠れる程度まで持ち上げてから腰骨のあたりを右手で押さえて着物を固定した状態で、腰紐を締めます。
    天候が悪い日は裾が長すぎると汚れてしまうことがあるため、裾線を短めにしましょう。

     

    次に、身ごろの脇に空いた部分「身八つ口」から手を入れ、布目を下ろしておはしょりを作ります。
    前のおはしょりを整えた後、後ろも同様に整えます。このとき、腰紐が着物に引っかかっていないかもチェックしておきましょう。

     

    共衿と背縫いを持って背中心を合わせながら、長襦袢の衿に合わせて振袖の衿も整えます。
    左の身八つ口からコーリンベルトを下前の衿で留めてから、後ろから右脇へ回して上前の衿を留め、背中のシワやおはしょりを整えて伊達締めをすれば、振袖の着付け完了です。

     

    最後に、帯を締めます。
    振袖の帯の締め方は定番の「二重太鼓結び」や「一重太鼓結び」などのほか、リボンや花が咲いたような個性的な締め方があります。
    好みや振袖のデザイン、卒業式の雰囲気などに合わせて、最適な帯の締め方を選んでみましょう。

     

    振袖を着て思い出に残る卒業式にしよう

    卒業式の和装は袴が定番ですが、振袖だけを着ればよりゴージャスで、華やかなスタイルにできます。
    成人式で着た振袖をそのまま着られるので、手元に振袖がある方はレンタル費用も抑えられる点もメリットです。
    卒業式に振袖を着て、一生の思い出に残る日にしてみてはいかがでしょうか。

    e-きものレンタル 編集部

    振袖、袴、七五三などの着物に関する豆知識や、お役立ち情報をコラムでお伝えします。