【専門店解説】お宮参りの産着の着せ方
お宮参りの産着を着せたいと思っても、着せ方が分からないと困っている方も少なくないでしょう。
着物を着る機会がほとんどなくなった昨今では、和服の扱い方そのものが分からない方も多くなっていますから、悩むのも無理はありません。
産着の着せ方は簡単なので、ぜひ習得して記念に残るお宮参りにしてくださいね。
産着は神社に到着してから着せる
産着を着せるタイミングはケースバイケースですが、神社に着いてから着せる方が多くなっています。
自宅の近所の神社に歩いて参拝するのであれば、着せてから出かけてもいいでしょう。
車の場合チャイルドシートに座らせることになるので、家から産着を着せていくのは難しくなります。
というのも、産着は赤ちゃんに袖を通してもらうものではなく、抱っこした上からやさしくかけるものだからです。
また電車で出かける場合も家から着せて出かけるのは、現実的とはいえません。
人にぶつかったり、何かに引っかけたりしては危ないですし、ずっと正装となると赤ちゃんを抱っこしている方の負担にもなります。
そのため、産着は神社に着いてから着せる方が安心です。
神社に着いたら手水で手を清めてから着せるようにしましょう。
産着の下に着せる服
本来、産着の下は白羽二重を着せるのが伝統的なスタイルです。
白羽二重とは白正絹の着物のことで、織り方も工夫された肌ざわりも良い着物です。
しかし近年では、扱いやすく、赤ちゃんも体を動かしやすいロンパースやベビードレスなどを、産着の下に着せることが多くなりました。
普段使っているものでもかまいませんが、せっかくのお宮参りなので、白地などにフォーマルなデザインがされたものを用意してあげると良いですね。
季節にあわせて、厚手のものや、通気性の良いものを選べば赤ちゃんも快適に過ごせるはずです。
産着を着るのは誰でもいいの?
産着は本来、母方から贈られ、父方の祖母が赤ちゃんを抱っこし、その上から着せるものでした。
しかし近年ではこうした伝統のスタイルにこだわる方は少なく、また、お母さんと子どもの関係性を大切に考える現代では、お母さんが抱っこすることが多くなっています。
そもそも両家揃ってお宮参りに行くかどうかもご家庭によるため、赤ちゃんやお母さんの体調、一緒に参拝される方の予定にあわせて誰が赤ちゃんを抱っこし、産着を着るのか決めると良いでしょう。
お宮参りの際に産着を着せるポイント
産着を着せるときのポイントは下準備をしておくことです。
産着とその内側に着る襦袢が別々になっているようなら、袖を通してきちんと重ねておきます。
レンタルなどでは、初めから重なった状態になっていることがほとんどです。
産着に帯はなく、4cm程度の幅広の紐が付いています。
産着を上手に着せるためには、この紐を袖口から外に出すのがポイント。
きちんと袖から紐を出していなければ、産着を着せたとき袖が垂れ下がってせっかくの奇麗な柄が見えません。
紐を袖から出すためにはまず、背中部分が机や床につくように置きます。
服をたたむようなイメージです。
次に紐をねじれないようにしながら、腕を通すように前身頃から袖に抜くようにして紐を通します。
右は右、左は左の袖を通します。
これで下準備は完了です。
襦袢の紐も重ねて一緒に通すようにしましょう。
神社に着いてから産着を着せる場合は、この下準備をしたまま軽くたたんで持っていくと、着せるときに手間取りません。
産着の着せ方
まずは帽子とよだれかけを
産着を着せるときは、まず赤ちゃんに帽子とよだれかけを着けてあげます。
帽子は大黒帽やフード状のフリルやレースが施された帽子など、好みに合わせて選びましょう。
どのタイプの帽子にも原則紐が付いているので、顎のところで蝶結びにしてとめます。
ただ、初めての帽子に赤ちゃんが嫌がったり、お顔が見えなくなったりするようなら、無理に帽子をかぶせる必要はありません。
次に帽子の結び目の上からよだれかけを着けていきます。
これも赤ちゃんの背中部分で蝶結びにしてとめましょう。
産着の上によだれかけが見えるように着せる
産着を着せるときは、まず赤ちゃんを抱っこします。
縦抱きに近い横抱きにすると産着を着たときにお顔が見えやすくなります。
しっかり抱っこしたら、産着は誰かに着せてもらいます。
お顔が見えるように赤ちゃんを覆い、また、産着の柄が中心にくるようにあわせたら、紐を背中にまわします。
このときよだれかけが産着の上から奇麗に見えるように着せましょう。
よだれかけの結び目は横にずらし、産着の背面によだれかけの結び目や結び紐が見えないようにします。
赤ちゃんを抱いていない側の肩が少し隠れるくらいの高さに、斜め上がりになるようなイメージで着せてあげます。
紐を背中で蝶結びにして固く結びとめましょう。
お守りや扇子、紐銭など、地域の習わしに沿った小物を付けるなら、結び留める前に片方の紐に通してから結ぶようにしてください。
奇麗に着付けられると、結び目が赤ちゃんを抱いている側の肩付近にきます。
先ほどのポイントで紹介した「袖から紐を通す」準備が、仕上がりのシルエットに生きてきます。
まるで産着に抱きしめられているように着せることで、無駄がなくすっきりとまとめられますよ。
産着の着せ方は一緒に参拝される方と覚えるのがポイント
産着の着せ方を知ると、赤ちゃんを抱っこしている方本人だけでは着られないものであることがわかります。
産着を着るためには誰かに手伝ってもらう必要があるため、当日着せてくれる人と一緒に覚えたり、練習したりしておくと安心です。
産着におすすめの柄
◇虎・龍◇
龍は伝説に登場する想像上の生き物ですが、虎とともに四方を守る四神の一柱に位置づけられています。
縁起物であり強い守護の意味合いがあるため、神社の手水や拝殿の梁などによく彫刻されています。
龍は空を飛翔することから、出世や飛躍の願いが込められ、虎は勇猛な姿から、たくましく成長して欲しいという願いが込められている柄です。
◇鷹◇
鷹は空高く舞い上がり、獲物を探します。
獲物を見つけると一気に捕らえ放しません。
これに由来して、幸運を離さないという意味合いが込められています。
昔は身分の高い人たちの間で鷹狩りが行われていたこともあり、権威の象徴として、大成を願う意味もあるようです。
◇兜◇
戦において身を守るための防具であった兜は、病や怪我などから守り、健やかに成長できるようにという意味が込められている柄です。
鷹と同様に身分の高い人しか身に着けられなかったことから、立身出世して欲しいという願いも込められているようです。
◇花車・御所車◇
花柄や御所車は、平安時代の貴族の乗り物を模した柄です。
玉の輿に乗れますようにという意味が込められたものであり、美しく人々から祝福される人に成長できるようにと願いが込められている柄です。
◇鼓◇
鼓は伝統的な打楽器です。
打てば大きな音が鳴ることを「物事が成る」にかけ、成功や幸福を願う意味があります。
花柄と合わさっていることが多く、女の子らしい古くから愛される着物の柄です。
◇牡丹・芍薬などの花柄◇
美しい女性のたとえとして「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉があります。
これらの花を取り入れた柄には美しく気品のある女性に成長できるようにとの願いが込められています。
古くから着物に取り入れられていた柄であり、見た目の華やかさと美しさも、女の子の産着として好まれる理由です。
まとめ
産着の着せ方は難しいものではありませんが、赤ちゃんを抱っこする方が自分で着るのは難しく、誰かに手伝ってもらう必要があります。
事前に紐を袖から通しておくなど準備をし、奇麗に着付けた姿でお参りしましょう。
しかし、産着を着せたい、お母さんや祖母も一緒に和装で揃えたいとなると出費も大変な上、その後の保管場所も考えなければならず、新調することに踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
そのようなときは着物レンタルを活用するのがおすすめです。
「e-きものレンタル」では縁起物の柄が揃った美しい産着や、訪問着、黒留袖といったお母さんや祖母の着物まで一度にレンタルで揃えられます。
利用日の2日前には届くため、実際の産着で着付けの練習もできます。
気軽な着物レンタルを活用し、伝統的なお宮参りのスタイルで参拝してみてはいかがでしょうか。
<産着の着付け方動画を見る>